オーガニック植物は、体を整えてくれる成分が豊富

化学物質を野菜でデトックス

中国の山村に残っていた「和綿」との出会い 一度も農薬を使ったことのない究極のオーガニックコットン

慢性的な唇荒れにさよならするために オーガニックリップケアを

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「オーガニックコスメ」とは

本物のオーガニックコスメを選ぶには、ポイントになる危険成分を知って、肌に安全なものを選ぶ。

コスメの原料はほとんど石油から作られる

毎日、使う化粧品は、安心できるものを選びたいものですね。

じつは多くの肌トラブルは、毎日、使っている化粧品が原因になっています。この60年ほど前から、洗顔料、化粧水、クリーム、そしてメイク用品など、化粧品の主成分は、石油から作られた化学成分になってしまいました。化学成分が多く入った化粧品は、最初はいいようでも、長く使ううちに肌のバリアを壊し、乾燥肌やシミ・くすみという問題が出てきます。

化粧品は、パッケージや容器のデザインではなく、中身で、つまり成分を見て選ぶ必要があるのです。

石油ではなく、自然のものを使ったコスメが支持される

石油を使った化粧品による肌トラブルが急激に多くなってきたために、「化粧品も食品と同じように自然のものにこだわりたい」という消費者が増えてきました。

自然派コスメとは、植物などの天然成分を主体とした化粧品です。しかし天然成分を使っていても、その植物栽培に農薬や化学肥料が使われていると、これまた肌や環境に対して負担が出てきます。

そこで植物成分についても、理想はオーガニック栽培したものが望ましいという考えが支持されるようになり、「オーガニックコスメ」という言葉が出てきました。

本物の「オーガニックコスメ」を応援していきます

安全という点から考えると、「100%天然成分100%オーガニック原料」が理想的な「オーガニックコスメ」です。

しかしまだまだ石油由来の化学成分を主体とした化粧品がほとんどというのが現状です。あるいは、パンフレットなどに「自然派」、「オーガニック」とうたう化粧品も増えていますが、残念ながら、天然成分と化学成分の混ざりものという製品が多いようです。

アイシス「オーガニック生活便」としては、まずは100%天然成分ということを基本に、できるかぎりオーガニック栽培原料を使った「オーガニックコスメ」を推奨していきます。同時に「100%天然成分100%オーガニック原料」という、理想的な「オーガニックコスメ」が多くなるように、各コスメメーカーにも働きかけていきたいと考えています。

オーガニックコスメの誕生

1.オーガニックコスメの誕生

2001年2月に「オーガニックコスメ」という言葉が登場

日本では、オーガニックコスメという言葉は、海外から来た言葉だと思っている人も多いようです。しかしじつはオーガニックコスメという言葉は、日本で作られた造語です。

2001年、2月、「環境NGOアイシスガイアネット」は、消費者に安心できる化粧品を知らせる本を製作しました。編集作業が終わりに近づいたとき、オーガニックコスメという造語を作り、それを本のタイトルにしました。アイシス編集部には、この造語は、食べ物と同じように化粧品の安全性が求められるようになれば、いずれ自然発生的に広がっていくだろうという予感がありました。

2001年は偶然にも、化粧品にとっていろいろな動きがある年となりました。4月には、日本で化粧品の全成分表示が始まったのです。また同じ年に、ドイツで、世界で初めて自然化粧品の認証制度がスタートしました。

その後、単行本「オーガニックコスメ」はシリーズとなり、1年か2年おきに発行されるようになりました。そして2009年には、新たに5刊目の「オーガニックコスメ厳選303」が出版されています。

自然化粧品の歴史

2.自然化粧品の歴史

世界各地の植物療法によるスキンケア

何千年前から化粧品は、世界各地の土地にある植物が活用されてきました。
植物によるスキンケアの歴史は、人類が地上に現れたときからすでに始まっていると言っていいでしょう。
人々は日々の生活の中で、肌を美しく健康にするさまざまな植物(ハーブ)を試し、活用してきました。自然の恵みを受けながら生活していた古代の人々は、自然に敬意を払い、そしてまた自分自身も大自然の一部であることを肌で感じていました。
植物によるスキンケアは、長い時のなかで次世代へと伝えられ、安全性や効果が確かめられてきたものだけが後世に残されてきました。

しかし19世紀から20世紀にかけて、化粧品の主な素材は、主に石油から合成された化粧品に変わってしまいました。
2001年に、NGOアイシスガイアネットが発信した「オーガニックコスメ」という言葉には、現代の合成化粧品の危険性を伝えるとともに、古くから伝えられてきた植物療法を再評価し、ふたたび現代の生活によみがえらせようという意図がこめられていました。

世界各地に伝わるスキンケア

今日、世界各地で用いられている主な薬用植物をあげると、中国で伝えられた中薬、日本に伝わった漢方薬、そして日本の民間医薬、ヨーロッパのハーブとスパイス、インド伝統医学「アーユルヴェーダ」で用いられる薬用植物、インドネシア、マレーシアなどで用いられてきた熱帯地方の薬用植物(ジャムウ)、アメリカ大陸で用いられてきた薬用植物などがあります。

これらの薬用植物は、医療全般とそして皮膚の治療としてスキンケアに用いられてきました。現代においては、科学的な裏づけがなされた上で、多くの薬用植物が自然化粧品やオーガニックコスメの化粧品成分として活用されています。

世界各地の植物療法
  • 中国で古くから伝えられた漢方薬
  • 日本の民間医薬
  • ヨーロッパのハーブとスパイス
  • インド伝統医学(アーユルヴェーダ)で用いられる薬用植物
  • インドネシア、マレーシアなどで用いられてきた薬用植物
  • アメリカ大陸で用いられてきた薬用植物
    その他、世界各地の民族薬

植物の力を活用した洗浄成分の歴史

スキンケアといえば、まずは「洗うこと」から始まります。
顔や髪、からだを洗う洗浄剤としてもっとも古いものをあげれば、木灰、穀物や豆のサポニン、木の実、クレイ、石けんなどがあげられます。ヨーロッパでは、イナゴマメやアーモンドパウダーが洗浄成分として使われ、日本では、米ぬかが顔やからだの洗浄に、そして海藻や粘土が洗髪に使われていました。

世界最初の石けんは、木灰と動物の油脂から作られましたが、その製法は5000年前のメソポタミア文明の遺跡に残されています。17世紀のフランスにおいて石けんは、オリーブ油をベースにした「マルセイユ石けん」が人気になりました。石けんは、長い歴史を通じて、人体にとっても環境にとっても安全であることが確かめられている洗浄剤です。近年、日本でも、合成洗剤によって、滋賀県の琵琶湖や千葉県の手賀沼の汚染が深刻化したとき、「せっけん運動」によって浄化した事例があります。
そのように世界中のどこでも、身近な植物や自然素材を活用した安全な洗浄方法があったのです。

化粧品は、最初は素肌や髪を清潔に保つためのスキンケア用品として登場し、その後になって、外見を整えるメイク用品としても作られるようになったのです。

古代エジプトの植物療法とスキンケア

化粧品の歴史の始まりは、古代エジプトに遡ります。スキンケアからメイク用品まで、現代の化粧品のもとになるものは、ほぼ古代エジプトにおいて使われていました。
植物療法によるスキンケア方法ついては、古代エジプトの医学書を見ると、その原点が見えてきます。現代ではスキンケアというと、化粧品の分野になっていますが、古代エジプトにおいては、スキンケアと医学は同じものであり、皮膚の治療方法として残されています。

19世紀には、ドイツ人学者エーベルスが、古代エジプトの医学書『エーベルス・パピルス』を発表しました。110ページ、約20メートルのパピルスに書かれた医学書です。そこには、800以上の治療薬の作り方があり、植物療法によるスキンケア方法についても記されていました。
この『エーベルス・パピルス』には、オピウム・ポピー、ミルラ、フランキンセンス、フェンネル、タイム、ジュニパーなどおなじみのハーブも含まれています。
この医学書は、は紀元前15500年頃に書かれたものですが、紀元前3400年頃に遡るより以前の文章を書き写したものだと考えられており、インドの「アーユルヴェーダ」以上に古い書物ということになります。
これらの古代エジプトのパピルスには、数百種類の薬用植物の名が記録され残っています。例えば、アロエ、アヘン、安息香、オリーブ油、アラビアゴム、ケイヒ、サフラン、ザクロ、乳香、カモマイル、キク、メボウキ、ギンバイカ、矢車草などがあります。それらのハーブは、薬として服用されたり、スキンケアに使われました。今ではおなじみになっている美容ハーブが数多くありますが、それらがローマ帝国時代にヨーロッパに伝わり、スキンケアや医療品に使われ続けたのです。

『エーベルス・パピルス』が書かれたのとほぼ同じ頃、女性のファラオ、ハトシェプスト女王がエジプトを統治し、芸術と大繁栄の時代をもたらしました。ハトシェプスト女王はミルラの香木を手に入れるために、戦争ではなく平和貿易という理想を掲げ、はるばるプント(現在のソマリア)まで大船団を送りました。
エジプトでもっとも美しい遺跡と言われるハトシェプスト葬祭殿には、プントから運んだミルラの木が植えられた跡が残されています。葬祭殿の壁には、こんなハトシェプストの言葉が記されています。
「私は、世界で最初に平和貿易をした王である」と。
プトレマイオス王朝時代の壁画には、エジプトの特産物として有名になった『ユリ香油』の作り方の光景が残っています。何千本ものユリの花とショウブやミルラ、カルダモンなどを用いて、大変手間のかかる工程を経て作る『ユリ香油』は、多くの地中海地域の人々を魅了しました。
エジプト王朝において最後の王となったクレオパトラは、ローマの軍人を前に、植物について長い講議をし、その知性ゆえに感動を呼び起こしたというエピソードが残っています。おそらくクレオパトラの美貌もまた植物の力をおおいに借りたものだったのに違いありません。エジプト人は、古代世界の中でも、もっとも豊富な植物の知識を持っていた民族と言って間違いないでしょう。

石油原料と化粧成分

3.石油原料と化粧成分

生活のあらゆる分野にある石油製品

17世紀ころに登場した自然と切り離された科学万能主義は、19世紀後半から20世紀になると、世界的な規模の大量生産時代を招来しました。大量生産をするために、もっとも安価で効率のいい原料として選ばれたのが石油でした。
19世紀後年に、アメリカで次々と油田が発見され、まず石油は灯油として使われ始めました。
その後、ドイツで車が発明され、車の燃料として大量の石油が使われるようになると、石油の生産と精製は、巨大な国際ビジネスへと発展するきざしを見せ始めました。
19世紀後半、アメリカで油田開発が始まって以来、石油は現代生活のあらゆる分野で使われるようになりました。そして今、私たちの身の回りのものを見回してみると、テレビ、壁紙、車の塗装や車内、衣料品など、驚くほどの石油製品に囲まれて過ごしています。そのほか農薬や化学肥料、医療品、そして、今の化粧品もまた、その主な原料が石油になっています。

ところで原油を直に見たことはありますか?

ガソリンや軽油、灯油といったガソリンスタンドで見かける石油製品は、透き通った色をしています。アスファルトに混ぜて使われているコールタールは、黒くてどろりとした液体です。これらはもともと原油というひとつの液体の中に、混ざり合っていたものです。精製する前の原油は、粘り気がある黒い液体です。
原油産出国からタンカーで送り届けられた原油は、1958年、日本で最初に完成した石油化学コンビナートである山口県岩国や愛媛県新居浜で見かけられるような石油化学コンビナートに水揚げされます。この原油を精製して、ガソリンや軽油などに精製します。

日本の原油の輸入量は2.3億立方メートル(2008年度)です。この量は、黒部ダムの貯水量、約2億立方メートルに匹敵します。日本が原油を輸入している国は、中東(87%)、東南アジア(5%)、オーストラリア(1%)となっています。
毎年、これほど多くの石油が燃料となり、その他の日常品となっていきます。環境中に多くの石油製品が散乱し、そして、川や海に流れていきます。石油はCO2を増やす大きな原因となり、その合成品が環境汚染の原因となっています。そのことを考えると、今一度、石油を大量に使う現代生活を見直す必要があります。

化粧品に使われるナフサとは

石油精製の工程を簡単に言うと、原油を熱して、温度を上げて蒸留します。特定の温度域において取り出せる成分が決まっており、この工程を分留といいます。
石油は蒸留すると、軽いものから順にガス、ガソリン、ナフサ、軽油、灯油、重油に分れます。そのうち、ナフサはさらに7つに分けることができ、日常生活で使っているものの製造に深くかかわる、化学物質が得られますが、そこから化粧品の原料も多く作られています。化粧品をはじめ、家庭で使う洗剤や、化学肥料、塗料、香料、レンズなどあらゆるプラスチック製品がナフサを元に作られます。

輸入した原油の18%がナフサとして取り出されます。分留で取り出したナフサは、熱分解によってエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ベンゼン、トルエン、キシレンが取り分けられることになります。ナフサを除いたほかの成分については、火力発電に使われたり、自動車、暖房など燃料として使われます。

さらに日本では、ナフサの需要はこれだけでは足りず、さらに海外から輸入した石油原料の約50%にあたるナフサを輸入しています。ナフサから作られた製品は、燃えないゴミとなります。また毒性の高いダイオキシンの発生源のほとんどが石油製品です。さらに石油は、強酸性の硝酸や硫酸になる窒素酸化物(NOx)やイオウ酸化物(SOx)が含まれており、これらが雨に溶けて酸性雨となります。そのように考えると、化粧品はもちろんのこと、そのほかの石油から作られる合成品が、環境に大きな負担をかけていることが見えてきます。

オーガニックコスメの認証

4.オーガニックコスメの認証

環境先進国ドイツで始まった自然化粧品の認証基準

環境先進国ドイツでは今、数々の自然化粧品メーカーが世界から脚光を浴びるようになってきています。1996年、これらの自然化粧品メーカー16社が、「BDIH」(ドイツ医薬品、化粧品商工企業連盟)の自然化粧品の基準作りに乗り出したのです。
そしていよいよ2001年から「BDIH」の自然化粧品の認証制度がスタートしました。

2007年、7月、日本の環境NGOの一員としてアイシス編集部の水上は、ドイツのビジネス都市マンハイムにあるBDIH本部を訪れました。「BDIH」の会長によると、「『BDIH』の基準は今ではドイツだけではなく、ヨーロッパやアメリカでも知られるようになっています」とのことでした。

彼のインタビューの中でとくに印象に残ったのが次の言葉でした。

「BDIHの基準は、自然化粧品の認定であり、オーガニック認定ではありません。ドイツではナチュラルコスメという言葉はよく聞きますが、オーガニックコスメという言葉は聞いたことがありませんね」。
そのときはすでに日本ではオーガニックコスメが、新聞や雑誌で取り上げられるようになっていたので、それは小さな日本だけのことなのかと拍子抜けしたように感じました。
「BDIH」の自然化粧品の認証では、消費者は一切の合成成分を認めてないと考えがちですが、そうではありません。「安息香酸と及びその塩類」、「ソルビン酸と及びその塩類」、「サルチル酸と及びその塩類」「ベンジルアルコール」など、石油由来の合成防腐剤や、そのほかの合成成分の使用は認められています。

化粧品のオーガニック認証の問題点

「BDIH」は、自然化粧品についての基準を打ち出しましたが、オーガニックについてはとくに基準は設けていません。これに対して、化粧品のオーガニック基準を定めているのが「ECOCERT(エコサート)」です。
「ECOCERT」は、1991年にフランスで設立されました。
「ECOCERT」の認証制度は、もともと農産物の認証から始まりましたが、加工食品やオーガニックコットン、そして最近になってコスメへと、その認証製品の分野を広げていっています。

「ECOCERT」の化粧品のオーガニック基準は次のようなものです。
「エココスメは、植物性成分の50%が認証された有機農法由来であること。より厳しい条件を満足しているビオコスメについては、植物成分95%が有機農法由来であること」としています。しかし気になることは、化粧品全体の5%は、化学原料でいいとしていることです。たとえば石油由来の合成防腐剤は、通常、1%も配合すれば、効力を発揮しますので、オーガニック化粧品の認証を受けながらも、通常の化粧品と変わらぬ合成防腐剤の使用が認められているわけです。

オーガニック認証を受けた化粧品は、合成成分が一切使われていないと考えられがちですが、決してそうではないことを消費者は知っておくべきでしょう。
また5%の化学原料の配合は、かなり少量のように感じますが、化学成分はほんのわずかな量でも、肌に対してアレルギー性があることは心得ておくべきでしょう。

新たに動き出したオーガニックコスメの統一基準

2008年、新たなコスメの基準を作ろうという動きが出てきました。
ベルギーに本部をおく「NaTrue(ネイトルー)」です。この団体の主体を担っているのは、「BDIH」の自然化粧品の基準作りにも参加した経験を持つドイツの自然化粧品メーカーです。
「NaTrue」のホームページを見ると、その目的を「自然化粧品とオーガニックコスメを推進していくこと」をうたっています。
「NaTrue」は、EU本部があるベルギーのブリュッセルに本部をおくことによって、自然化粧品とオーガニックコスメの統一基準を作ろうという意気込みをうかがわせています。
「NaTrue」では、オーガニック原料については、クリームやローションなどのアイテム別に水分何%、天然由来成分何%と定めた上で、次のような「星マーク」制度を採用しています。

  1. ★(ひとつ星) オーガニック成分70%未満
  2. ★★(二つ星) オーガニック成分70%以上95%未満
  3. ★★★(三つ星)オーガニック成分95%以上

「NaTrue」でも、使用していい合成成分については、独自のポジティブリストを作り、その配合比を定めています。ですからオーガニックコスメの認証をとっていても、合成成分をまったく使っていない化粧品というわけではありません。

認証コスメは合成成分ゼロというわけではない

これまで述べてきた化粧品認証のほかにも、「ビオマーク」(フランス)、「英国土壌協会」(イギリス)、「ACO」(オーストラリア)など現在、各国でさまざまな団体が化粧品認定を始めています。繰り返しになりますが、「認証マークがついている化粧品には合成成分が入っていない」と考える人も多いですが、必ずしもそうではないことを消費者は知っておくべきでしょう。

今、いろいろな団体による化粧品の認証が出てきていますが、安全性の高い化粧品を普及していくという点においては、多いに評価されるべきことでしょう。とはいえ自然化粧品やオーガニックコスメの認証基準は、どこまで消費者側に立っているのか?今の製造技術の限界に妥協する形で作られることはないのか?という懸念もないわけではありません。
ぜひ環境を守り、消費者側にたつという方向で討議を重ねながら、本当に安全性の高い化粧品に向かって、基準を進化させていってほしいものです。

一般化粧品とオーガニックコスメの違い

5.一般化粧品とオーガニックコスメの違い

自然化粧品の難問は、防腐と乳化方法

化粧品を作るとき、その目的別におおよそを分類すると、次のようになります。

  1. ① 防腐剤(化粧品の保存期間を高める)
  2. ② 界面活性剤(洗浄成分及びクリーム類の乳化)
  3. ③ 色素(メイク用品などに色をつける)
  4. ④ 香料(化粧品の香りを整える)
  5. ⑤ 溶剤(植物エキスを抽出するさいの液体)
  6. ⑥ 油剤(クリームや乳液などのベースとなるオイル成分)
  7. ⑦ 整肌成分(肌を整えるための成分)

戦後、化粧品は、石油精製の過程から出てくる合成成分が主体となってしまいました。
その結果、①から⑦の化粧品に必要な成分は、合成防腐剤、合成界面活性剤、合成色素(タール系色素)、合成香料、合成溶剤、合成油剤、合成の整肌成分というように、ことごとく石油原料の合成成分になってしまったのです。
こうした一般的な化粧品は、使ううちに、しみやくすみ、肌荒れなどのさまざまなトラブルをおこすことが言われるようになり、しだいに昔から使われてきた自然素材の化粧品が見直されるようになってきました。

多くのオーガニックコスメメーカーは、①から⑦の化粧品作りに要する成分は、安全性が高いとわかっている自然素材を使おうと努めてきました。③の色素は、鉱石や植物の色素を使い、④の香料はエッセンシャルオイル、⑤の溶剤は水かアルコール、⑥の油剤は、石油ではなく植物オイル、⑦は、昔から使われてきた整肌作用のある植物を配合するというように。
しかしオーガニックコスメにとって難問は、①の防腐と②の界面活性剤をどうするかということです。石油原料の合成成分を使えば、防腐も乳化も簡単なので、いくつかの植物エキスを配合した上で、合成防腐剤と合成界面活性剤を使って仕上げるオーガニックコスメも多いようです。
ちなみに界面活性剤とは、本来は混ざらない水と油を混合する機能がある成分です。これはシャンプーや洗顔フォームの洗浄成分になったり、あるいはクリームや乳液をなめらかに混ぜ合わせて乳化するための成分です。

合成界面活性剤と乾燥肌

6.合成界面活性剤と乾燥肌

化粧品が原因で慢性的な乾燥肌に

現在、乾燥肌で悩む人が増えています。その原因の多くは、じつは毎日、使っている化粧品である可能性があります。
一般の化粧品には、石油由来の合成成分が多く使われています。全成分を見てみると、天然成分は、水のみで、あとはすべて石油由来の合成成分という化粧品も少なくありません。
化粧品に使われている合成成分は、合成界面活性剤(洗浄、乳化)、合成防腐剤、合成色素、合成香料、合成油剤などがありますが、なかでもとくに怖いのは、 合成界面活性剤です。
合成界面活性剤というと、いかにも難しそうですが、「界面」とは境界の意味で、水と油の境界のことを指しています。それを「活性」させるとは、混じるの意味で、本来、混ざらない水と油を混ぜる成分が「合成界面活性剤」というわけです。
合成界面活性剤は、たんぱく質にくっついてそれを溶かしていく作用があります。そのために合成界面活性剤が配合された化粧品を使えば使うほど、肌は薄くなり、本来、肌が持っている保湿機能を壊してしまいます。気がついたら慢性的な乾燥肌になっているということになります。これがさらに進むと肌はさらに薄くなり、肌バリア機能が失われた敏感肌になってしまいます。

からだの奥にまで運ばれる合成成分

合成界面活性剤は、洗浄フォームやクレンジング、そしてクリームや乳液、シャンプーなどのアイテムに配合されています。
ですから「保湿するつもりでクリームを塗れば塗るほど乾燥していく」という悪循環に陥っている人も多いわけです。
また合成界面活性剤は、肌への浸透性が良く、ほかの合成成分も一緒に肌の奥に運んでしまいます。これまた肌の保湿機能が壊れてしまうだけではなく、肌の深いところにシミやくすみの原因を作ってしまうこととなります。それだけではなく、血管にも合成成分が運ばれてしまうので、アレルギーや生活習慣病などを招きやすい体質になってしまいます。
化粧品を買うとき、どのような合成界面活性剤が使われているのかをチエックしましょう。合成界面活性剤は数多く種類がありますので、化粧品成分辞典を使うことをおすすめします。

自然化粧品やオーガニックコスメでは、化粧品の洗浄成分や乳化成分として合成界面活性剤ではなく、天然の界面活性剤を用いています。
天然の界面活性剤とは、せっけん、大豆由来などのレシチンなどがあります。
全成分のラベルを見ると、せっけんの表記は、「石鹸素地、脂肪酸Na, 脂肪酸K」などとなっています。

合成界面活性剤の種類

合成界面活性剤は、石油原料で作られるもの、石油原料と植物原料を組み合わせたもの、植物原料で作られたものがあります。植物原料で作られた合成界面活性剤なら安心というイメージがあります。たしかに石油よりは、環境に負担をかけないだろうと思われますが、はたして肌にとって本当に安全なものかどうかは、まだ明確なデーターが出ていません。
いずれにしろ、合成界面活性剤は、人為的に作られたものであり、自然界にはないものであることは忘れたくないものです。
現在、合成界面活性剤はじつに数多くありますが、ここでは合成界面活性剤のほんの一部の例をあげました。ちなみにPEGとは、ポリエチレングリコールの略称です。「エチレン」とは、石油を精製するさいに出てくるものです。

①石油原料の合成界面活性剤
  • オクチルドデカノール
  • オクタン酸アルキル
  • PPG-1セテスー5、PEG-12
  • ジオレイン酸PEG-4
②植物原料と石油の組み合わせの合成界面活性剤
  • ラウリル硫酸ナトリウム
  • ラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタインジメチコン)
  • ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(パレスー3硫酸Na)
  • コカミドMEA(ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド)
  • 酢酸ステアリン酸スクロース
③植物由来の合成界面活性剤
  • 水添パーム脂肪酸グリセリズ(ラヴェーラ)
  • リノール酸グリセリズ(オーブリーオーガニクス)
  • オレイン酸グリセリル(ドクターハウシュカ)
  • ジステアリン酸スクロース(ドクターハウシュカ)
  • ポリリシノレイン酸ポリグリセリルー3(ドクターハウシュカ)