幻の紫草を復活させる

幻の紫草を復活させる


万葉集時代から日本文化を育んできた紫草。高貴な紫の染料として、傷や火傷、肌荒れを治す薬用植物として使われてきました。
江戸時代にも、「江戸紫」と呼ばれる色合いとして、いっぽうで万能薬の原料として尊ばれてきました。

悲しいことに今、紫草は、環境汚染により日本から消えようとしています。

しかしいっぽうで貴重な紫草を復活させるための市民活動や、町興しのシンボルにしようという動きも出ています。

紫の染料や薬として尊ばれてきた、幻の植物ムラサキ

紫草は、私たち日本人にはたいへん馴染みの深い植物です。

紫草と書いて「ムラサキ」と呼ばれます。
紫草は東アジア原産、ムラサキ科の多年草です。5月中旬~8月には白く可憐な花をつけます。草丈は60cm前後。根はシコンと呼ばれ、鮮やかな紫色で、世界各地で染料や生薬として使われてきました。

日本における紫草による染色は、中国より伝わったもので、万葉集・古今和歌集などの和歌にもよく詠われてきました。


万葉時代から継承された日本のムラサキ文化

万葉時代、才色兼備の女流歌人、額田王も、薬用植物を採取する行事の際、次のような恋歌を詠んでいます。

「あかねさす 紫野行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る」

美しい夕景が浮かぶこの歌からもわかるように、当時すでに広々とした紫草の栽培畑が作られていたのです。
その後も紫草、京紫・江戸紫などの染料として、塗り薬に配合される生薬のシコン(紫根)として使われ続け、千年以上のときを超えて日本のムラサキ文化は継承されてきました。

紫草は、江戸時代までは、染料の原料として全国で栽培されていましたが、化学染料が登場して以来、ムラサキ畑はほぼ消滅。自生のムラサキも、森林破壊、大気汚染、酸性雨などの影響によって環境省のレッドリストに載るまでに激減し、今や”幻の野草”とさえ呼ばれるほど。

その結果、紫草は、環境省の絶滅危惧種リストで「IB類」(20年後の絶滅の確率30パーセント)に分類される植物となってしまいました。 まさに日本のムラサキ文化は”絶滅”の瀬戸際にあるのです。

日本でも、紫草が地域活性化のシンボルに

現在、紫草の栽培地や自生地は、主に中国やインドに残っています。

とはいえ、紫草を日本で蘇らせようという動きも出てきています。三鷹市では、かつての特産品である武蔵野のムラサキを使って町興しをしようという企画が出されました。
その昔、三鷹市にある大盛寺の門前には、江戸紫を売るための市が立ったとか。このお寺には紫根問屋と薬問屋が寄贈した「紫灯籠」も残っています。

また地域活性化として、紫草の栽培を始めたところもあります。もともと紫草は、栽培が非常に難しいと言われている植物ですが、北海道の厚別町や、九州の福岡で、紫草の生体を研究することによって栽培に成功しています。



紫草の美容効果が注目される

最近は、シコンエキスがシミやくすみを改善するという話がテレビ番組で話題になりました。それはシコンの高い抗酸化力によるものです。まさにエイジングケアとしても最適。
また、紫外線を和らげる働きが、薬草研究者の実験データによって報告されています。

シコンエキスの成分は、シコニン、アセチルシコニン。油溶性で、油に漬け込んだり、煮ることによって、鮮やかな赤に発色しますが、水にはほとんど溶けません。

ムラサキの根である赤いシコン色素は、新陳代謝を促進し、荒れた肌を整える働きがあります。そのシコ色素ンを使った江戸時代の外用薬として有名なのが赤い軟膏の「紫雲膏」。名医・花岡青洲が作りました。ひび、しもやけ、切り傷、やけどなどあらゆるものに重宝されてきました。昔の人は、成分のことは知らなくても、経験的にシコンの素晴らしい効果を知っていたのです。

赤い色素であるシコンは抗酸化力が高いだけではなく、抗菌力もとても高く、湿疹、にきび、水虫などのケアに適しています。そのほか「角化症」を改善するため、足の「魚の目、たこ」などにも用いられてきました。

最近は、肌に対して様々な効果があるシコンを配合した化粧品も出てきて、ひそかなブームになっています。長い歴史の中で万能薬として重宝されてきたシコン。そのシコンが今、現代化粧品の合成成分によるダメージを改善するためにふたたび注目されているのです。

  商品紹介 

  • アイシス 紫草〔むらさきそう〕クリーム 9.5g アルテ
    紫草クリームには、紫根という伝統的な美容成分が使われています。
    紫根は、荒れた肌を癒し白い肌へと導くと言われ、化粧水で伸ばして顔全体に使えばUV対策にもなります。
    唇の荒れや、目元のくすみや乾燥にも使ってください。

  • 淡紅〔あわべに〕 5g アルテ
    シコンをオイルで抽出する方法は、「ムラサキ草クリーム」と同じですが、さらにシコンを多く使って色を濃縮しました。
    そのためうっすらと唇に色がつき、くすんでしまった唇の色もきれいに見せてくれます。
    つまり唇メイクをしながら、シコンのスキンケア成分が、唇の荒れやくすみを根本からケアしていってくれるというわけ。まさに一石二鳥の「和」のリップクリームなのです。
    「漢萌」独自の天然果汁も加えて、唇にしっとりとしたツヤ感が出るように仕上げています。

  • しなやか(美容オイル) 30ml 漢萌
    紫根(シコン)、当帰(トウキ)を昔ながらの製法そのままに、香油で煎じてできた純天然の美容オイルです。薬草のいのちが肌や髪、頭皮、唇の荒れを整え、健康なコンディションへと導きます。

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