ハーブ物語 ヘチマのお話

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「へちま水」が「美人水」と言われるワケ

「へちま水」が「美人水」と呼ばれ、化粧水として使われるようになったのは、江戸時代、一説によると室町時代とも言われています。江戸時代には、江戸城の大奥に化粧水として献上されていたようです。
「美人水」と呼ばれてきただけあって、最近の研究で「へちま水」に11種類もの抗酸化サポニンが含まれていることが明らかになっています。その中には、「6年ものの朝鮮人参」にしか含まれない有効成分を持つサポニンもあり、皮膚細胞を活性します。それによって、新陳代謝が活発になり、皮膚細胞が再生するスピードがはやまり、傷の治りを良くし、肌荒れ改善や美容にも役立ちます。
「へちま水」には保湿、収れん、美白など、様々なアンチエイジングの効果があり、日焼けやほてりなどもしずめます。ニキビや汗もなどの炎症改善の働きもあります。
また、「へちま水」には、ペクチン、アミノ酸が含まれていて肌にうるおいを与え、なめらかなキメを細かい肌へと導きます。

それだけでなく、この「ヘチマ水」は、水よりも粒子が細かく、人の肌に近い弱酸性であることから、つけた瞬間にスーっと肌になじみ、角質の奥まで浸透して、肌のバリア機能も高めてくれるのです。

そもそも「へちま水」ってなんでしょう?

「へちま水」とは、ウリ科の植物のへちまの蔓(茎)を切って、その切り口から出てくる液体を集めたものです。秋に実が完熟した頃、夜の間に地上30cmほどの所で蔓を切り、根側の切り口を容器に差し込んで採取します。
とくに九月の中秋の名月の日に採取した「へちま水」が最も上質と言われています。

昔からこうして採取した「へちま水」をろ過して、スキンケア用品や飲料に利用していたのです。

「へちま水」は化粧水のほか、民間薬としては飲み薬や塗り薬として用いられています。飲み薬としては咳止め、むくみ、利尿に効くとされ、正岡子規の句「痰一斗糸瓜(へちま)の水も間に合わず」はこの咳止めの効能に関わるもだと言われています。

へちまの語源は「へ」と「ち」の間⁈

へちまは、果実から繊維があるので「糸瓜(イトウリ)」と呼ばれていました。
それが「イ」が略されて「トウリ」とも呼ばれるようになり、この「トウリ」の「ト」が、「いろは」の「へ」と「ち」の間にあるため、「へちの間」で「へちま」になったとする説が有力とされています。
沖縄ではナーベーラーと呼ばれていますが、これは果実の繊維を「なべあらい」に用いたことに由来していると言われています。

沖縄では、へちまの実をタワシとしてだけでなく、ゴーヤーと並ぶ夏野菜として食べます。ビタミンやミネラルが豊富で健康にも美容にも良い夏野菜で、なめらかな食感とまろやかな甘みがあり、夏バテ防止にもなる食材です。

果実は食材として、タワシとして、また茎から採れる液は化粧水や飲用として利用できる「へちま」。
健康に、美容に。ぜひ、見直したい植物のひとつです。

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