自然エネルギー&オーガニック最先進国 part3

川沿いの城

国民投票で「原発NO」を決めた国、
オーガニック農地の割合はヨーロッパNO.1

「ウィーンの森」や「美しく青きドナウ」など、豊かな自然と芸術の国オーストリア。
じつは、ヨーロッパで一番の有機農地の割合が多いオーガニック先進国です。
また早くも1978年、オーストリアは国民投票によって「原発NO」という選択をしました。
アイシス編集部は、「自然エネルギーとオーガニックの最先進国」、オーストリアを取材しました。

ヨーロッパ中が頭を悩ませている、放射性廃棄物の捨て場

ドナウ川 最後に案内されたのは、原子力発電所の最上部にある屋上だった。
真下をドナウ川が、青空を映し出しながら流れている。 それにしても今やヨーロッパを横断するドナウ川沿いにも点々と各国の原発があるわけで、はたして放射能漏れなどは大丈夫なのだろうか……。そんな懸念が過ぎる。
EU28カ国のうち、14ヵ国に原発があり、その数は147基にものぼる。

今、原発が稼動しているどこの国でも、大きな問題となって浮上してきているのは、放射性廃棄物をどこに捨てるのかということだ。
原子炉一基を一年間、運転すると、約20トンの使用済燃料(高レベル放射性廃棄物とも言う)が出る。世界で稼働中の原子炉は、現在443基あるため、443基×20トン=年間8860トンが産出されている。さらにそれだけではなく、ドラム缶約1000本の低レベル廃棄物(衣服、消耗品、廃液など)が発生する。
ということは、稼動する年月がたてばたつほど、放射性廃棄物が増え、難しい問題が大きくなっていく。

イギリス、フランス、ドイツなどでも、最終処分場建設に対して、住民の反対運動が起こり、思うように進んでいない。フィンランドは、10万年後を想定した最終処理場「オンカロ」を建設中だが、それさえも様々な種類によって異なる放射能の半減期を考慮すると完全なものではない。

市民が原発を再生可能エネルギーの場へと変える

原発の施設全景
ツヴェンテンドルフ原子力発電所の屋上から下方を眺めるうちに、敷地の一部に、明るく輝くものが目に入ってきた。それは、何百もの太陽光パネルだった。

「市民が資金を出して、太陽光パネルを買い、そこに並べているのですよ」と、案内者は説明した。
原発の敷地に並べられた太陽光パネルには、「原子力発電所を、再生可能エネルギーの発電所へ変えよう」という,市民の強い意思が託されているのだった。
それらの太陽光パネルによって2009年6月から電力が作られ、年間約180メガワット時の電力が供給されている。また原発の敷地内には、再生可能エネルギー研究所なども設けられているとのこと。

さらに2010年から、毎週金曜日に原子力発電所のガイドツアーが始まった。 「このガイドツアーは、太陽光パネルを買った市民たちの発案で始まり、市民ボランティアが案内人も務めていますよ」。

とくに最近は、福島原発事故の影響もあって、原子力発電所への関心が高くなり、ガイドツアーは、かなり先まで予約がいっぱいとのこと。

廃墟となった原発は、市民によって、自然エネルギーを作る場へと変えられつつある。
ツヴェンテンドルフ原子力発電所の一隅にある太陽光パネルの輝きは、つい少し前に心を占めていた暗い不安を吹き払い、明るい未来へ向かう希望の光そのもののように見えてきた。

福島原発以後、 世界中から訪問者が急増

原発の説明
途中で、案内人はステファンさんから、施設の管理者に代わった。

「プルトニウムがこの上にあり、ここは水に満たされていたはずの場所です」。

もし原子力発電所が稼動していたら、そこには絶対に入れない場所を私たちは歩き回った。
「じつはこの発電所は、福島原子力発電所と同じ『沸騰水型』なので、あの震災の直後は、ヨーロッパ中の記者がここに見に来ました」。
なるほど、一度も核燃料を入れたことのないこの原発なら、放射能汚染の不安を考えずに原子力内部の取材ができるわけだ。



川沿いの城

国民投票で「原発NO」を決めた国、
オーガニック農地の割合はヨーロッパNO.1

「ウィーンの森」や「美しく青きドナウ」など、豊かな自然と芸術の国オーストリア。
じつは、ヨーロッパで一番の有機農地の割合が多いオーガニック先進国です。
また早くも1978年、オーストリアは国民投票によって「原発NO」という選択をしました。
アイシス編集部は、「自然エネルギーとオーガニックの最先進国」、オーストリアを取材しました。

ヨーロッパ中が頭を悩ませている、放射性廃棄物の捨て場

ドナウ川  最後に案内されたのは、原子力発電所の最上部にある屋上だった。
 真下をドナウ川が、青空を映し出しながら流れている。  それにしても今やヨーロッパを横断するドナウ川沿いにも点々と各国の原発があるわけで、はたして放射能漏れなどは大丈夫なのだろうか……。そんな懸念が過ぎる。
 EU28カ国のうち、14ヵ国に原発があり、その数は147基にものぼる。

 今、原発が稼動しているどこの国でも、大きな問題となって浮上してきているのは、放射性廃棄物をどこに捨てるのかということだ。
 原子炉一基を一年間、運転すると、約20トンの使用済燃料(高レベル放射性廃棄物とも言う)が出る。世界で稼働中の原子炉は、現在443基あるため、443基×20トン=年間8860トンが産出されている。さらにそれだけではなく、ドラム缶約1000本の低レベル廃棄物(衣服、消耗品、廃液など)が発生する。
 ということは、稼動する年月がたてばたつほど、放射性廃棄物が増え、難しい問題が大きくなっていく。

 イギリス、フランス、ドイツなどでも、最終処分場建設に対して、住民の反対運動が起こり、思うように進んでいない。フィンランドは、10万年後を想定した最終処理場「オンカロ」を建設中だが、それさえも様々な種類によって異なる放射能の半減期を考慮すると完全なものではない。

市民が原発を 再生可能エネルギーの 場へと変える

原発の施設全景  ツヴェンテンドルフ原子力発電所の屋上から下方を眺めるうちに、敷地の一部に、明るく輝くものが目に入ってきた。それは、何百もの太陽光パネルだった。

 「市民が資金を出して、太陽光パネルを買い、そこに並べているのですよ」と、案内者は説明した。
 原発の敷地に並べられた太陽光パネルには、「原子力発電所を、再生可能エネルギーの発電所へ変えよう」という,市民の強い意思が託されているのだった。
 それらの太陽光パネルによって2009年6月から電力が作られ、年間約180メガワット時の電力が供給されている。また原発の敷地内には、再生可能エネルギー研究所なども設けられているとのこと。

 さらに2010年から、毎週金曜日に原子力発電所のガイドツアーが始まった。  「このガイドツアーは、太陽光パネルを買った市民たちの発案で始まり、市民ボランティアが案内人も務めていますよ」。

 とくに最近は、福島原発事故の影響もあって、原子力発電所への関心が高くなり、ガイドツアーは、かなり先まで予約がいっぱいとのこと。

 廃墟となった原発は、市民によって、自然エネルギーを作る場へと変えられつつある。
 ツヴェンテンドルフ原子力発電所の一隅にある太陽光パネルの輝きは、つい少し前に心を占めていた暗い不安を吹き払い、明るい未来へ向かう希望の光そのもののように見えてきた。