「天空の縄文そば」を蒔いてきました!

「天空の縄文そば」を蒔いてきました!

「平林」の雄大な耕作地にて

8月3日、山梨県富士川町平林の眺めの良い広々とした耕作地で、そばの種まきをしました!ここは約800mの高地で、風は涼しいのですが、真夏の日差しが強く照りつける中、汗を拭きながら総勢8名でおよそ一反分の耕作地に、そばの種を蒔いていきました。

この種は北海道紋別地方から取り寄せた有機栽培種です。種類は韃靼(だったん)そばといい普通そばとは違う種類のものです。その韃靼そばの中でも苦みが少なく品種改良をした「満天きらり」という新品種を今回蒔きました。

この地がはるか昔、約6000年前頃の縄文時代の遺跡(平林大平遺跡)から、土器や石器、竪穴状遺構の出土があった地域の歴史から、私たちはここで育てる自然栽培の産物を「天空の縄文~」と名付けています。3年前から「天空の縄文米」を作っていますが、今回のそばも「天空の縄文そば」 と命名しました。

このそば栽培を始めるきっかけ

昨今の米不足、益々輸入に頼らざるを得ない国内食糧事情、農家の激減による農産物生産量の低下。そして、世界を見渡すと、急激な人口増加による資源の枯渇や、食料不足による物価高騰、そんなことをよく耳にするようになりました。さらに各地での奪い合いから紛争、破壊しつくす戦争へと先行き不安感が蔓延しつつある状況から、「何か未来へ希望が持てるものを」 「将来にも続く確かなものを作っていきたい」 と考え、その思いが秘めたエネルギーに満ちているこのそばに繋がっていきました。

どんな土地でも育つ強い植物

大昔からそばは、日照りや冷涼な気候にも強く、また栽培する土地も選ばないため、凶作の時も収穫が見込める救荒作物として位置付けられていました。日本でも奈良時代の書物「続日本紀」で、干魃に備える備蓄食糧として蕎麦の栽培を勅令したことが記されています。

そして、形は違えど世界各国で様々な食べ方で親しまれているそば。特に韃靼そばは、乾燥や寒さに強く、荒れた土壌でも(厳しい条件下でも)簡単に栽培できる穀物なのです! きらきらと輝く太陽の下、大自然の天然肥料で培われた韃靼そばは、二十一世紀の食糧源として期待でき、まさに今私たちが求めるオーガニックフードなのでは? と思うのです。 未来へ向けてその大自然と繋がる食文化は、さらに広がる可能性を秘めています!

韃靼そばとは

ダッタンとは、ロシアのウラル山脈西方タタール地区、モンゴル人の呼び名が発祥です。そのダッタン部族が主食としていたのがダッタンそば。ほろ苦い味があるので、中国では「苦(にが)そば」と呼ばれています。現在ダッタンそばの主産地は、中国雲南省や四川省、ネパール、ブータンの海抜2000~3500mの高地です。雲南省のイー族は、ほぼ毎食この苦そばを食べます。

韃靼そばは、穀粒に強い苦味があるために敬遠され、普通そばの栽培が難しい場所で主に栽培されてきました。しかし、近年ではその優れた栄養特性と機能性成分が明らかになって、日本でも健康的な穀物として、各地で栽培が始まりました。

中国では、古くからその効果・効能を評価し、「薬膳そば」とも呼ばれています。韃靼そばの故郷の地では、朝霧につつまれた広大な高原に、羊や山羊を追う牧童たちの声が響き渡ります。高地特有の昼夜の温度差は、良質のそばをつくる最適条件なのです。

韃靼そばの魅力

低カロリー、高たんぱくで免疫力を高める!

長寿のための滋養食とされてきた普通そばと同様に、韃靼そばは低カロリーであり、高タンパク質の優れた穀物です。そばのタンパク質はイネ科穀物に不足している必須アミノ酸のリジンを多く含み、タンパク質として高い栄養価値を有しています。質の高いタンパク質は体を構成する細胞になるほか、体を細菌やウイルスなどから守る免疫細胞の元にもなります。免疫細胞が活性化されると、免疫力を高めることにつながります。

体内を整えるコリンが多い!

古くから「そばは酒の害を少なくする食物」と言い伝えられてきました。その理由は、そばに含まれるコリンのおかげです。コリンは、多量の飲酒や栄養過多による脂肪肝の予防に寄与するビタミンB群に分類されています。韃靼そばは、普通そばより多くのコリンを含んでいます。コリンの不足は、脂肪肝から肝硬変を引き起こし、腎臓にも損傷を与える可能性があります。

細胞の若返り、血圧低下も期待できるルチン!

ルチンはポリフェノールの一種で、毛細血管壁の通りを調整する作用があります。古くから、韃靼そばは止血薬として使われ、腸内出血や脳溢血の止血にも利用されてきました。脆くなった毛細血管の弾力性を回復するため、これらの出血性疾患の予防にも高い効果があります。

また、血圧降下と環状動脈を拡張する作用があり、狭心症や心筋梗塞の予防効果も認められています。さらに、細胞内の活性酸素除去作用、糖尿病の治療効果、およびコレステロール値を正常に保つ働きがあると言われています。

韃靼そばには、普通そばの100倍以上のルチンが含まれています。ルチンやケルセチンは黄色い物質であり、粉が黄色いのはルチンを豊富に含んでいるためです。

韃靼そばの改良新品種「満天きらり」

ダッタンそばの「苦味」の原因になる物質のケルセチンは、ダッタンそば粉中で、ルチンに水を加えることにより分解します。その活性は強力で、粉に水を加えるとルチンは数分のうちにほぼ完全に分解されてしまいます。

粉への加熱処理で分解を抑えることが出来ますが,風味や物性の大幅な劣化、コスト増の課題があることから、解決策として加熱処理をしなくとも苦味やルチン分解が生じない新品種が期待されていました。そして近年、その新品種として開発されたのが、「満天きらり」です。

この蒔いた種「満天きらり」は世界初の苦味のほとんど無い韃靼そば品種であり、また交配育種で育成された初の韃靼そば品種です。高い抗酸化能力があり、「満天きらり」含有食品のルチン残存率も明らかに高くなっているとの報告があります。

韃靼そば「天空の縄文そば」栽培について

韃靼そばの栽培期間は90~100日です。種まき後1か月くらいで花が咲き、2か月後くらいで実が成り始めます。収穫は11月中旬から下旬の予定です。初年度なので、どのような結果になるか不安もありますが、この種が平林で実を結び「天空の縄文そば」として見事に花開くことを切に望んでいます!