オーガニック野菜は栄養価が高い!

オーガニック野菜は栄養価が高い!

本当に農薬を使った野菜は安全なの?

近年、環境と人体にとって有害な化学物質に関する法規制が世界中で制定されるようになっています。

日本でも2001年から環境省のもとで「PRTR法」が実地され、人体と環境にとって有害な化学物質(現在515物質)を指定していますが、そのうちのなんと4割は農薬が占めているという驚くべき実態があります。

しかし「PRTR法」は、有害な化学物質を禁止する法律ではなく、ある程度大きな規模の企業が化学物質を使った量について報告するだけの法律です。つまり多くの農薬は、人体と環境に悪いとわかりながら、毎年、製造され販売され続けているのです。

いっぽうで農産物に残留する農薬の量を規制する「農薬残量基準値」もありますが、年々、その基準値の数字が高くなり、農薬の規制がより緩い方向に向かっていることも気になります。

石油の大量発掘と戦争から生まれた農薬

農薬の原料として、何故、石油が使われるようになったのでしょうか?

19世紀後半にアメリカで次々と油田が発見され、石油は車や飛行機、船舶の燃料として使われるようになりました。その後、石油燃料の精製過程で出てくる余剰副産物(=ゴミ)も利用されるようになり、洗剤、化粧品、医薬品、香料などとして、自然界にはない化学物質が数多く使われるようになりました。

第一次世界大戦及び第二次大戦では、様々な化学物質(毒ガスなど)が化学兵器として開発されましたが、それらは、大戦後、殺菌剤や殺虫剤、除草剤、化学肥料などの商品となって世界中で販売されるようになったのです。

世界で最も多く売れたグリホサート系除草剤

一時は「グリホサート」は、世界で最も売れる除草剤となりましたが、2015年に『国際がん研究機関』が「発がん性」を報告し、以後アメリカやヨーロッパで健康被害を訴える裁判が次々と起こされるようになりました。そうした状況から昨今ではグリホサート系農薬は、世界的に敬遠されるようになってきています。

しかしなぜか日本は世界の事情から遠く、相変わらず、農業用や園芸用の除草剤や、道路や公園の除草剤として、大量にグリホサート系農薬が販売され続けています。

農薬や化学肥料による砂漠化

近年の慣行農法では、毎年、耕作地に害虫駆除や除草のために大量の化学農薬の散布を行います。そのため虫や微生物が土地からいなくなり、結果的に土地は砂漠化へと向かいます。その枯れ果てた土地で作物を育てるには、栄養素として大量の化学肥料が必要となります。

土地に蓄積された農薬や化学肥料などの化学物質は、雨や風などを通して周囲に運ばれ、生態系全体に悪影響を及ぼしています。事実、今や年々、5万から6万種類もの動植物が絶滅していっているという報告も出ており、農薬も大きく関与しています。

健康な土壌で育てられるオーガニック野菜はおいしい

今、安全な食べものを得るために、そして生態系を守るために、改めてオーガニック農業が世界各地で見直されてきています。

まだ農薬がなかった時代、オーガニック農業は当たり前でした。

もともとオーガニック農業は、人類の長い歴史の中で続いてきた本来の農業であり、周りの自然や生物と共存しながら作物を育てるものでした。そこには虫や微生物の力も作物を育てるために大切な存在という認識があり、自然への敬意がありました。

オーガニック農法は、自然な栽培方法なので、土壌に悪影響は与えず、それどころか微生物を活性化し、微量ミネラルの循環を促すなどして、生態系と環境の維持に好影響を与えます。

慣行農業の場合は、与える肥料も「窒素、リン酸、カリ」などを主とした偏ったものであるため、出来上がった作物の栄養素も偏ったものになります。

それに対して、オーガニック栽培の作物は、自然との調和の中、多様な虫や微生物の力を借りて育てられるため、慣行栽培の作物と比べると、はるかに多種多様なミネラルやビタミン類、抗酸化物質を含んでいます。そのため免疫力の向上や代謝の活性、良好な腸内環境なども期待できるのです。オーガニック野菜が味わい深く、おいしく感じられるのは、まさに栄養分が多様で豊富なためなのです。

コラム今の野菜は栄養価が低くなっている?!

主な野菜・果物栄養素1950年(初訂)1982年(四訂)2020年
にんじんビタミンA4,050μg-70%1,230μg-41%720μg
ビタミンC1.0mg-100%0.0mg6mg
鉄分2.1mg-62%0.8mg-75%0.2mg
ほうれん草ビタミンA2,400μg-79%510μg-31%350μg
ビタミンC150mg-57%65mg-46%30mg
鉄分13.0mg-72%3.7mg-46%2.0mg
りんごビタミンA30.3μg-100%0.0μg1.0μg
ビタミンC5.0mg-40%3.0mg+33%4.0mg
鉄分2.0mg-95%1.0mg1.0mg

参考:文部科学省発表 日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

今の野菜や果物の栄養価が低くなっていると言われています。

たとえば1950年代と比較すると、多くの作物成分が著しく下がっているのがわかります。この原因の一つには、環境を無視した化学肥料・農薬にたよる慣行栽培により、土自体が瘦せきってしまったことが挙げられます。

作物がミネラルなどの微量栄養素を吸収するためには、微生物の働きが不可欠ですが、微生物が住めない環境では、どんな肥料を撒いても無駄に終わってしまいます。土壌そのものが、ミネラルの流出により痩せて「砂漠化」 してしまったのです。

また、昔に比べて日持ちも悪くなっているとの話をよく聞きますが、日持ちが悪いということは、腐敗しやすいということです。つまりミネラルやポリフェノールなど野菜の持つ「抗酸化能力」 が落ちているから、腐敗しやすいのです。

もう一つの要因は、「品種改良」です。苦みやエグミを無くするために、苦み成分のミネラルやポリフェノールが少ない品種や糖度の高い品種を目指し、マグネシウムや亜鉛などのミネラル含有を二の次にしてしまった「品種改良」が、健康面からみれば、「品種改悪」 となってしまっているのです。

毎日の食事に、少しでもオーガニック野菜を摂り入れることは、免疫力を強化して病気を予防し、 老化を緩やかにするなどの様々なメリットが期待できます。

※「オーガニック生活便」では、無農薬・自然栽培の食品や調味料を数多くお取り扱いしています。